奈良本 辰也 

       「武士道の系譜」
                     奈良本辰也

 日本人の知識人は、三百年もの間神を信じなかったと言ってよいかも知れぬ。そこで、神との対話において、自分を律することをしなかった。日本人の自分を律する道徳は何であったかという問いは、そこから発せらたのであろう。しかも、私たちの祖先は是非善悪の基準をもっていたはずだ。名もなく地方の藩に生まれ、そして名もなく消えていった武士たちの生活を思うとき、彼らのいかにも厳格な理非曲直をあきらかにした生き方を思うのである。といのは、吉田松陰を育てた杉百合之助の家庭、あるいはその叔父玉木文之進の生き方などといものを考えたらよいであろう。
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※ 日本の道徳の規範は、武士道にあった。戦後なくした最も大きなものである。
            平成27年9月13日 記