山口 青邨(やまぐちせいそん)

      山口青邨

   外套の裏は緋なりき明治の雪
   みちのくの町はいぶせき氷柱かな
   みちのくの雪降る町の夜鷹蕎麦(よたかそば)
   みちのくの雪深ければ雪女郎
   みちのくに親しき友の案山子翁(かかしおう)
   みちのくの淋代(さびしろ)の浜若布(わかめ)寄す
   初詣帝釈さまのよもぎもち
   病室のわれが名札や月あかり
   山門の上に月あり日蓮忌
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※清廉・直情の人であった。東北人らしい特質が、青邨俳句の個性となった。同じく山口姓をもつ後輩、誓子を動とすれば、青邨は静の俳人である。現代俳句の重鎮であった。

                    平成27年4月4日 記