能に関係したことを詠んだ俳句

  正岡子規
      寒月や人去るあとの能舞台
      松風や謡半ばや春の雨
      あつらえの扇出来たり謡初(うたいぞめ)  
      草の家の隣に遠く謡初
      謡ヲ談ジ俳句ヲ談ス新茶哉
      薪燃えて静の顔を照らしけり 
      小夜ふけし鼓の春や薪能
 
  高浜虚子
      鼓あぶる夏の火桶やほととぎす
      打ちぞめや葛野(かどの)九郎兵衛ここにあり
      鏡板(かがみいた)に秋の出水のあとありぬ
      能すみし面の衰へ暮の秋
      一面に月の江口の舞台かな
        
  河東碧梧堂
      神事近き作り舞台や楠若葉
      舞殿や薫風昼の楽起る
      曲すみし笛の余音や春の月
      薪能小面映ゆる片明り

  大町桂月
      鴬や十戸(じゅうと)の村の能舞台

  山崎淳一
     秋初め風波の調べ能舞台
     風騒ぐ秋の宮島能舞台
     蝉丸や親を怨まず春の雨      「蝉丸」

  夏目漱石 
     白雲や山又山を這ひ回り      「山姥」
     憂ひあらば此の酒に酔へ菊の主  「枕慈童」
     弁慶に五条の月の寒さ哉       「橋弁慶」
     落ち延びて只一騎なり萩の原    「巴」
     梅散るや源太の箙はなやかに    「箙」
   
  松本たかし
      夢に舞ふ能美しや冬籠 
     小鼓のポポとうながす梅早し      
     花散るや鼓あつかふ膝の上     
     チチポポと鼓打たうよ花月夜  
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※能に関係した事柄で俳句を作っている俳人がいる。題材を得ているということは、能に精通しているか関心があるということである。ちなみに、松本たかしの父親は、宝生流の能楽師であった。
                平成27年7月8日 記