能「土蜘蛛」

 
 
      

 能楽師小島英明先生は、平成25年度 文化庁・次代を担う子どもの文化芸術体験事業(能と狂言)の九州ブロックを担当し、福岡県、熊本県、長崎県の三県下の小中学校、14校にて「能楽」のワークショップと公演を行いました。初めて観る児童・生徒のことを考えて、能「土蜘蛛」狂言「附子(ぶす)」が演じられました。
 「土蜘蛛」に使用された能面「顰(しかみ)」は、山崎作です。能装束と能面を付けて演ずるということは、非常に大変なことだそうです。特に「土蜘蛛」は、蜘蛛の糸を吐きながら激しく動き回りますので、その負担は想像に余りあります。そのため、汗による落剥ができてしまいました。その補修を依頼されました。また、実際に使用しての課題も修正しました。
 能楽師の汗よる傷みや使用時の傷は、能面の勲章だと言われます。舞台で使用されて、能面に命が吹き込まれます。
   観世流能楽師 小島英明先生とともに
               平成26年4月29日自宅にて 

         

 平成26年1月26日(日)、東京中野のゼロホールで新春能が行われました。狂言は、「二人袴」で野村萬斎氏がシテを務め、素謡(すうたい)「神歌」、仕舞「東北(とうぼく)」も演じられました。
  最後に能「土蜘蛛」が、観世流能楽師 小島英明先生によって披露されました。なお、能面「顰」は、山崎の作成によるものです。能面紹介(鬼神面)のところをアクセスし、「顰」をご覧ください。

                       平成26年1月26日 記



                  
                  独武者に蜘蛛の糸を吐いて襲いかかる土蜘蛛の精

 病床に臥している源頼光の元へ、怪僧が現れ声をかけてきます。源頼光が不思議に思っていると、怪僧は蜘蛛の本性を現し襲いかかります。蜘蛛の糸を投げて襲いかかってくる僧に、源頼光は名刀膝丸で応戦します。
  その後、土蜘蛛の精を退治しに行った独武者と土蜘蛛との死闘。幾筋もの糸を吐く土蜘蛛、しかし、ついに独武者が切り伏せ退治します。舞台狭しと戦いが繰り広げられる勇壮な演目です。    
            平成26年1月26日 記