書経(しょきょう)   

           「書経」

   
 牝鶏(ひんけい)は晨(あした)する無し。牝鶏の晨するは、惟(これ)家の索(つ)くるなり。

【口語訳】
 雌鶏はコケコッコーと鳴いて朝を告げることはしない。(それは雄鶏の役割である。)それなのに、雌鶏がしゃしゃり出てコケコッコーとやるのは、家を滅ぼすもとである。

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※無論、これは現代のことではない。かつて女性が下に置かれていた時代の格言である。今は、男性も女性もない。ただ男性優位の社会であることは否めない。だからといって、女性を積極的に登用するんだという安部首相の話や社会の風潮はおかしい。力量があるからその地位にふさわしい人物だから登用した、というのが筋である。女性を積極的に管理職にするという考えでは、力がないのに女性だからなったいう考えが流布する。それでは、反感を招くだけである。「男女問わず力のあるものを積極的に登用する」というのが、理に叶った言葉ではないか。組織によっては「なになに女性の会」のような過去の遺物を今でも引きずっているものもあるが、これこそ女性の地位を貶(おとし)める以外の何者でもないし、性の逆差別でもある。
 森友学園の問題で安部首相夫人の言動が問題になっているが、その立場を理解し行動を慎まなければならないだろう。似非(えせ)教育者の理事長の口車に乗って、名誉校長を引き受けるなど言語道断だ。炯眼(けいがん)のなさに驚く。まさに「牝鶏の晨するは、惟(これ)家の索(つ)くるなり。」である。
            平成29年3月10日 記



          「書経」

  その能を矜(ほこ)れば、その功を喪(うしな)う。

 【口語訳】
 自分の能力や才能をひけらかすと、周囲の反感を買い功績も地位もうしなってしまう。
 
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※「能ある鷹は爪を隠す」というが、本当に力のある者は自分の才能や能力をひけらかさないものである。周りが自然に認め押し上げていく。だから、恫喝(どうかつ)したり、吹聴したりすることもない。

               平成28年9月9日 記


          「書経」

  知ることの艱(かた)きにあらず、行うことこれ艱し。

 【口語訳】
 知識を得ることは難しいことではない。難しいのは、得た知識を実際の生活で臨機応変にいかすことである。
 
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※机上の空論では駄目だ。経験してこそ、それがいきてくる。仮想現実の世界が膨らむことの空恐ろしさを感じる今日この頃である。

               平成28年7月28日 記


          「書経」

  人を玩(もてあそ)べば徳を喪(うしな)い物を玩べば志を喪う。

 【口語訳】
 人を侮ってもてあそべば、結局は自分の徳を失うことになり、物をもてあそび、物に執着しすぎると、人間にとっていちばん大切なはずの志まで見失ってしまうことになる。
 
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※どう生きればいいか、自(おの)ずから分かる文言である。人を大切にして、物に囚われない。心豊かに生きることが大切だ。

               平成28年5月29日 記


          「書経」

 人と与(とも)にするには備わらんことを求めず。人を使うには、必ずこれを器(うつわ)とす。  

【口語訳】
 他の人と接する場合には、相手に完璧さを求めない。人を使う場合は、相手の能力を最大限に引き出し、かたちにする。

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※これは、人と仕事をともにする場合の要諦であろう。しかし、これができない。特に人の上に立つ場合は、頭にたたき込む必要がある。人とは難解で思い通りにならないものである。心したい。
          平成28年5月22日 記


          「書経」

   面従して退いて後言(こうげん)あることなかれ。

  【口語訳】
 面と向かっては、はい、はいと相手の意見に従っておきながら、蔭に回って不平不満を並べたり、非難したりする。そんなことはするな。

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※このことは、よほど心に刻みたい。誰しもが経験していることであろう。

「書経」は中国の四書五経の一つ。
  四書・・・・「大学」「中庸」「論語」「孟子」
  五経・・・・「易経」「詩経」「書経」「春秋」「礼記」

               平成27年7月21日 記