釈 月性

   将(まさ)に東遊せんとして壁に題す
            月性(げっしょう)

男児 志を立てて郷関を出づ
学若(も)し成る無くんば死すとも還(かえ)らず
骨を埋(うず)めるに 豈(あに)墳墓の地を期せんや
人間(じんかん)到る処(ところ)青山(せいざん)あり

【口語訳】
 ひとたび男子たるもの志を立てて郷里を出たからには、学業が成るまでは絶対に帰らない決心である。骨を埋めるにどうして故郷の墓地に執着しようか。広い世間には、どこへ行っても骨を埋める青々とした墓地があるではないか。
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※「志を得ざれば再び此の地を踏まず」と故郷を出るとき実家の柱に彫ったのは、野口英世である。まさに、この漢詩と重なっていく。「人間到る処青山あり」の結句のような生き様の人も多くいるだろう。一方、石川啄木が「かにかくに渋民村は恋しかり思ひ出の山思ひ出の川 」と詠うように、故郷とはいつまでも心に刻まれたものであることも事実である。
         平成29年12月28日 記