額田王
熟田津(にきたつ)に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな
あかねさす紫野行き標野(しめの)行き野守は見ずや君が袖振る
君待つと我が恋ひ居れば我が宿の簾(すだれ)動かし秋の風吹く
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※大海人皇子(おおあまのおうじ、後の天武天皇)の歌、「紫のにほへる妹を憎くあらば人妻故に吾恋ひめやも」と「あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」は、色々と類推できるような歌であったため、数々の逸話がまことしやかに語られている。
今は、天智天皇の妻である額田王に、かつての夫、大海人野皇子が求愛するという歌のいきさつである。それらの人間関係から壬申の乱(672年に起きた天智天皇の子大友皇子と大海人皇子の戦)が、起きたとする話まである。古代は、ロマンに満ちあふれている。
これらの歌は、すべて『万葉集』に掲載されてある。
平成31年4月19日 記