観世流能楽師 小島英明先生
観世流能楽師 小島英明先生「土蜘蛛」を演ずる
能「土蜘蛛」 観世流能楽師 小島英明 能面「顰(しかみ)」 山崎 作
観世流能楽師小島英明先生(重要無形文化財指定保持者)が、昨日、つくば市立九重小学校の体育館で謡曲「土蜘蛛」を演じました。これは文化庁の事業で、先生は長くこれに携わり能楽(能と狂言を指す)の普及に尽力しています。
午前中は1年生から3年生、午後は4年生から6年生の二部構成で、簡単な能楽についての説明と当日の演目「柿山伏(狂言)」「土蜘蛛(能)」の内容紹介の後、演じられました。能楽囃子(はやし)解説や狂言体験ワークショップなどもあり、終始飽きさせないように工夫された構成になっていました。
小島先生が、この演目を選択なさるのは、見ていて楽しく分かり易い内容になっているからだと考えられます。それを証明するかのように、質疑応答の時間では多くの質問が児童から出ました。
最後に先生は、「多くの外国人が日本を訪れています。その人たちは、よく日本のことを勉強し、能楽をはじめとして多くのことを知っています。恥ずかしいことに当の日本人が日本の伝統や文化についてあまり知りません」と言葉を結びました。再考しなければならないことです。
令和4年11月19日 記
観世流能楽師 小島英明先生の能
観世流能楽師小島英明先生が、令和4年1月16日、宮城県白石市の「碧水園」内の能楽堂で謡曲「羽衣」と「土蜘蛛」を演じました。能「土蜘蛛」で使用された能面「顰(しかみ)」は私の作成したものです。
「碧水園」の能楽堂は、京都西本願寺北能舞台を手本とし吉野産の檜の柱、青森ヒバの床板等を用いて構成されています
令和4年6月3日 記
観世流能楽師小島英明先生(重要無形文化財総合指定保持者)から依頼された能面「顰(しかみ)」が完成し、お納めすることができました。何回も直し、完成するまでにまる3年かかりました。
平成28年6月21日 記
観世流能楽師小島英明先生が、能楽に関する本『恋する能楽』を上梓しました。能の中に描かれた男と女の情愛の話を描いたもの20曲を選び、解説を加えています。
「葵上(あおいのうえ)」「井筒(いづつ)」「通小町(かよいこまち)」「求塚(もとめづか)」などについて歴史的な背景、内容の解説、登場人物、豆知識等について詳細に記載しています。能楽についての入門書としても活用できますので、是非お買い求めの上お読みください。
内容の一部紹介
「能が語る恋愛論」
男女の恋愛が描かれる「能」に登場する人物は、今を生きる私たちと同じように恋をして胸を時めかせるし、失恋をして傷つき、打ちひしがれることもあります。様々な恋愛の形があり、人を想う心の細やかな機微が描き出されています。さらに彼らはあの世とこの世を往来し、生きている間には伝わらなかった想いや言葉を亡霊となって現れ、語ります。既に死している者だからこそ、後悔に苛まれている者だからこそ、その語りは独特の説得力をもちます。まるで「後悔のない恋をしなさい」と諭しているかのように。
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※平成27年3月29日の読売新聞12版よみうり堂「本」の紙面に、この『恋する能楽』が紹介されてあった。評を書いたのは、東京大学教授松井彰彦先生、『恋する能楽』を読み能楽堂に足を運びたくなったと記しているが、「結び」の書き方がもう少しどうにかならなかったのかと残念至極。
平成27年3月30日 記
神楽坂、矢来能楽堂で能面の虫干しが行われました。矢来能楽堂所有の能面約240面が、展示されました。観世流能楽師小島英明先生より御招待(一般公開はしない)があり、それらの能面を拝見することができました。能舞台に並んだ能面は壮観で、能面を作る私には、またとない機会になりました。普通は、蔵の奥深く所蔵され、演能の折りにしか目に触れることのできないものを身近に見られるのは、何物にも代えがたいものです。
平成26年7月29日記
能楽師小島英明先生は、平成25年度 文化庁・次代を担う子どもの文化芸術体験事業(能と狂言)の九州ブロックを担当し、福岡県、熊本県、長崎県の三県下の小中学校、14校にて「能楽」のワークショップと公演を行いました。初めて観る児童・生徒のことを考えて、能「土蜘蛛」狂言「附子(ぶす)」が演じられました。
「土蜘蛛」に使用された能面「顰(しかみ)」は、山崎作です。能装束と能面を付けて演ずるということは、非常に大変なことだそうです。特に「土蜘蛛」は、蜘蛛の糸を吐きながら激しく動き回りますので、その負担は想像に余りあります。そのため、汗による落剥ができてしまいました。その補修を依頼されました。また、実際に使用しての課題も修正しました。
能楽師の汗よる傷みや使用時の傷は、能面の勲章だと言われます。舞台で使用されて、能面に命が吹き込まれます。
使用した能面「顰」
平成26年4月29日自宅にて
平成26年1月26日(日)、東京中野のゼロホールで新春能が行われました。狂言は、「二人袴」で野村萬斎氏がシテを務め、素謡(すうたい)「神歌」、仕舞「東北(とうぼく)」も演じられました。
最後に能「土蜘蛛」が、観世流能楽師 小島英明先生によって披露されました。なお、能面「顰」は、山崎の作成によるものです。
能「土蜘蛛」について
病床に臥している源頼光の元へ、怪僧が現れ声をかけてきます。源頼光が不思議に思っていると、怪僧は蜘蛛の本性を現し襲いかかります。蜘蛛の糸を投げて襲いかかってくる僧に、源頼光は名刀膝丸で応戦します。 その後、土蜘蛛の精を退治しに行った独武者と土蜘蛛との死闘。幾筋もの糸を吐く土蜘蛛、しかし、ついに独武者が切り伏せ退治します。舞台狭しと戦いが繰り広げられる勇壮な演目です。
平成26年1月26日 記
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