小景異情(その二)
室生犀星
ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食(かたい)となるとても
帰るところにあるまじや
ひとり都のゆふぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ
そのこころもて
遠きみやこにかへらばや
遠きみやこにかへらばや
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※故郷は、常に懐かしいものである。しかし、帰るところではないとする心情はいかに・・・。薄幸な少年時代を金沢で過ごす。それが、室生犀星の芸術の原動力になっていく。青少年時代の憂い、哀感、孤独を純粋素朴化した作品が多い。
平成28年4月28日 記
犀川
室生犀星
美しき川は流れたり
そのほとりに我はすみぬ
春は春、なつはなつの
花つける堤に坐りて
こまやけき本の情けと愛とを知りぬ
いまもその川のながれ
美しき微風ととも
蒼き波たたへたり
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※室生犀星は石川県金沢生まれた。近くに犀川が流れていため、犀星と名乗ったとする。金沢市には、二つの川が流れていて、その川の流れや様子から犀川を男川、浅野川を女川と別称で呼ぶこともある。平成25年の10月に金沢を訪れた。落ち着いた素晴らしい街である。江戸時代に数々の文化が爛熟し、今もその名残を色濃くとどめている。金沢城の復元が進められていて往時を偲ばせる。
平成27年3月14日には、北陸新幹線が金沢まで開業する。益々、歴史の街が近くなる。また、足を伸ばしたいものだ。
東茶屋街 西茶屋街
平成27年3月12日 記