水原秋桜子(みずはらしゅうおうし)

    水原  秋桜子

桑の葉の照るに堪へゆく帰省かな 
わが命菊むかいて静かなる
こしかたや馬酔木(あしび)咲く野の日のひかり
瑠璃沼(るりぬま)に滝落ちきたり瑠璃となる
滝落ちて群青(ぐんじょう)世界とどろけり
葛飾や桃のまがきも水田べり
法師ぜみ鳴く新学期始まれり
連翹(れんぎょう)や真間(まま)の里びと垣を結はず
-----------------------------------------------------------------------------
※水や若葉の匂いのする多くの句を残した水原秋桜子は、葛飾の自然を愛した几帳面な人であった。
 「桑の葉の照るに堪へゆく帰省かな」の俳句があるが、それでも帰るのが故郷である。しかし、今年はコロナの影響でそれも叶わなかった。社会や世界に与えた影響は計り知れない。一日も早い収束を願っている。 
 以前大菊を作っていた私は、「わが命菊むかいて静かなる」がよく理解できる。菊作りは土作り、落ち葉を拾うために何度も山に足を運んだ。
       
   かつての菊作り 200鉢ほどダルマ・福助が並ぶ H18.10.26
        令和2年9月9日  記