近思録  

          近思録
  
 人を動かすこと能わざるは、ただこれ誠至らざればなり。事に於いて厭倦(えんけん)するは、みなこれ誠なき処なり。
                 
【口語訳】
  人を動かすことができないのは、誠に欠けているからである。仕事もいい加減になってしまうのも誠が欠如しているからである。

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※ やはり「誠は天の道」である。『孟子』にも、「至誠にして動かざる者は、いまだこれあらざるなり。」とある。誠こそ、人を動かす近道である。
              平成27年3月26日 記  



          近思録
                 
理に従へば則ち裕(ゆたか)なり、欲に従へば危ふし。

【口語訳】
 人間としてやっていいいこと悪いことのケジメをしっかりしけていれば、心が豊かである。反面、欲に目がくらむと立つ位置もあやしくなったり、失敗をしたりする。
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※ 朱子学の入門書で、日本では江戸時代後期に各地の儒学塾で講義された。豊後日田の広瀬淡窓の咸宜園では、『伝習録』とともに学業の最後の段階に位置付けられていた。いつの時代も人の心は変わらないのであろう。知足が大切だ。
              平成27年1月28日 記