韓非子  

          韓非子
                 

  巧詐(こうさ)は拙誠(せっせい)に如(し)かず。

【口語訳】
 巧みな嘘は、自分の良心をいつわらない誠実さにはかなわない。 
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※ 水戸藩9代藩主徳川斉昭は、下士層から広く人材を登用することに努め、藩校・弘道館の設立や偕楽園の開園など多くの改革を行った。その斉昭が揮毫(きごう)した額が、「巧詐は拙誠に如かず」である。篆書(てんしょ)で書かれた扁額は、偕楽園好文亭茶室待合に掲げられてある。徳川斉昭が、書くにふさわしい言葉である。まさに、生き方の要諦と言うべきである。深く心に留めたい。
 ところで、国政では、籠池問題、加計問題等で論戦が続いているが、その答弁がいかにも詭弁を弄したものである。安部総理、大臣、官僚が、嘘だと分かることを平気で言っている。あれだけ臆面もなく嘘を発することができるのであろうか。国政を預かる者があの体たらくでは、人心が離れるのは当然である。あまりにも国民を愚弄してはいないだろうか。国民を愚かだと思っている政治家どもに「巧詐は拙誠に如かず」を学ばせたい。
           平成29年8月6日 記  


          韓非子
                 

  千丈(せんじょう)の堤も螻蟻(ろうぎ)の穴を以て潰(つい)ゆ。

【口語訳】
 堂々たる堤防も、螻蛄(けら)や蟻の掘った小さな穴から崩れてしまう。 
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※ 瑣末(さまつ)なことでも見逃さず、事前に手を打ち災禍(さいか)を防止する必要がある。先日那須で起きた雪崩の事故も、事前に天候等を調べ総合的に判断すれば防げたはずだ。学校で行う行事は、安全が何よりも優先されなければならない。何年間も行っているからとの油断が、前途ある多くの命を奪うことになってしまった。保護者の悲しみはいかばかりであろうか。
          平成29年4月4日 記  


          韓非子
                 

 下君は己の能を尽くし、中君は人の力を尽くし、上君は人の能を尽くさん。

【口語訳】
 最低のリーダーは、自分の能力しか使えない。中程度のリーダーは、人の力をつかえる者。最高のリーダーは、人の能力を使える人物である。
 
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※ 管理職の職責は、自分が頑張ることではない、どうすれば部下の頑張りを引き出せるかである。管理職が頑張るのは、そのことが目的ではなく、部下の頑張りを引き出す手段にすぎない。そして、部下に任せて失敗したら、管理職が責任を負えばいいことである。腹を決めておけば、何も恐れることはない。
           平成27年3月20日 記