石川丈山(いしかわじょうざん) 

    富士山
        石川丈山

仙客(せんきゃく)來(きた)り遊ぶ雲外の巓(いただき)
神龍栖(す)み老ゆ洞中の淵(ふち)
雪は紈素(がんそ)の如く煙は柄(え)の如し
白扇(はくせん)倒(さかしま)に懸かる東海の天

【口語訳】
雲の上に突き出した富士山の頂には、仙人が来て遊ぶという。洞窟の中の淵には久しく神龍が棲んでいるという。頂に積もった雪は扇の白絹のようであり、立ち上る煙は扇の柄のようだ。ちょうど白い扇をひっくり返して東海の天にかけたような、そんな景色に見えるのだ。
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※石川丈山は、大坂夏の陣で出陣禁止令に背いた罪で謹慎させられた。その後、武士を捨てるが、諸大名から出仕の要請は引きも切らなかった。しかし、固辞し続けた。晩年の住居は、京都に現存する「詩仙堂」である。戦国の香りを放つ大丈夫(だいじょうふ)であった。
 富士山は、神棲む山。人が立ち入っていいはずがない。世界遺産に認定され、国内はもとより海外からも多くの人が来ているが、山に入るなど論外である。遠くから仰ぎ見る山ではないか。日本人の心そのものである。即刻入山禁止にしなければなるまい。ましてや近辺にゴミなど投棄する輩は断罪にしなければならない。
           平成29年2月5日 記