藤原俊成

        藤原俊成

夕されば野辺の秋風身にしみて鶉(うずら)鳴くなり深草(ふかくさ)の里
-----------------------------------------------------------------------------
※藤原俊成(ふじわらのしゅんぜい)の歌では、これ以外考えられない。何十年と愛唱してきたものである。秋の情景の広がりと物淋しさが伝わってくる。秋風が心にしみるという感覚は、日本人独特のものであろう。松尾芭蕉も「野ざらしを心に風のしむ身哉」と詠んでいる。
 藤原俊成は、1114年(平安時代)の生まれ、『千載和歌集』の編者であり、藤原定家の父でもある。当代歌壇の第一人者であった。
 藤原俊成に師事した平忠度(たいらのただのり)は、平清盛の弟で歌人としても優れていた。平家一門と都落ちした後、都の俊成の屋敷に赴き歌の巻物を託した。俊成は朝敵となった忠度の名を憚り、『千載和歌集』に一首のみ「詠み人知らず」として掲載している。その一首が、「さざ波や志賀の都はあれにしを昔ながらの山桜かな」である。この顛末は、能「忠度」として演じられている。
                平成26年8月9日記