易経(えききょう)

          「易経」

  二人(ににん)心を同じうすれば、その利、金を断つ。同心の言は、その臭(かお)り蘭の如し。
【口語訳】
 二人の人間が心を合わせ一致協力すれば、硬い金属でも断ち切るような威力を発揮する。心を合わせている二人が放つ言葉は、蘭の香りがする。
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※人間は、所詮一人では生きられない。何をするにしても理解者が必要だ。上記の文章から、「断金の交わり」「金蘭の交わり」という言葉が生まれた。
           平成28年8月22日 記



          「易経」

  亢竜(こうりょう)悔いあり。
【口語訳】
頂上まで登り詰めた者は、やがて転落の道をたどり悔いを残すことになる。
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※「極盛のなかに衰微の兆しあり」というように、どのように隆盛を誇ろうとやがて衰えは必ずやってくる。それが、宿命である。リオオリンピックも終わろうとしている。若手の台頭で破れる者もいるが、それも世の姿である。その時、どう身を処していくかが大切だ。吉田沙保里が敗者となり、何度も謝っていた。それを見ていた小学生が、「もう謝らないでください。」と言っていた。そのとおりである。充分価値ある銀メダルだ。この後、後進に道を譲ることも立派な選択ではないだろうか。
           平成28年8月20日 記



          「易経」

 積善(せきぜん)の家には必ず余慶有り。積不善(せきふぜん)の家には必ず余殃(よおう)有り。

【口語訳】
善行を積み重ねた家には、その報いとして必ず幸せが訪れる。不善を積み重ねた家には、先祖の犯した悪事の報いとして子孫に及ぶ災難が降りかかる。
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※蓋(けだ)し名言である。まさにこのとおり。現在、「愛着障害」が問題になっているという。乳幼児は恐怖や疲れや親と距離が離れたときなどに、親に近づくことにより安全感を得ようとする愛着行動をとる。その時期に虐待や育児放棄によって愛着が形成されないと愛着障害を発症する。そのような乳幼児は、落ち着きがない、暴力的行動をする、異常なまでの警戒感をもつなど様々な問題を引き起こすことになる。家庭でしっかり子どもを育て社会に送り出すことは、積善そのものである。虐待や育児放棄は、積不善となり子々孫々までも影響を及ぼすことであろう。
           平成28年6月1日 記



          「易経」

君子は器を身に蔵し、時を待ちて動く

【口語訳】
君子は能力を磨き、それを身に蓄えながらその時を満を持して待ち動く。
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※人はことがあった時、ばたばたとしやすい。そんな時ほど己を磨き、機会を待つべきである。しかし、これがなかなかできない。雌伏している時間が長ければ、飛躍するものも大きい。『易経』は、五経の一つ。
  五経・・・「易経」「詩経」「書経」「春秋」「礼記」
           平成27年2月22日 記