吉田松陰
士規七則(しきしちそく)
吉田松陰
士道は義より大なるは莫(な)し。義は勇に因(よ)りて行はれ、勇は義に因りて長ず。
【口語訳】
武士の道は、義より大切なものはない。義は勇気をもって行われ、勇気は義を行うことで発揮される。
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※武士の社会は、このような規範があってこそ成り立っていたのだろう。脈々とそれを我々は受け継いでいるはずだ。そう信じたい。
平成28年6月27日 記
士規七則(しきしちそく)
吉田松陰
士の行は質実欺かざるをもって要となし、巧詐(こうさ)過(あやまち)を文(かざ)るをもって恥となす。公明正大、みなこれより出ず。
【口語訳】
武士の行いは、質素、実直、人を欺かないことが肝要である。人を欺き、自分を飾ることは恥とする。正しき道義を行い、身が潔白であることは、これらの理由からである。
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※多弁を労し、嘘八百を並べるどこかの政治家に聞かせたい言葉である。武士道の精神は、今の日本では死語になってしまったのであろうか。「巧詐(こうさ)は拙誠(せっせい)に如(し)かず」と好んで揮毫(きごう)したのは、徳川斉昭である。
平成28年6月20日 記
士規七則(しきしちそく)
吉田松陰
死して後(のち)已(や)むの四字は言簡(げんかん)にして義該なり。堅忍果決(けんにんかけつ)、確乎として抜くべからざるものは、是れを舎(お)きて術なきなり。
【口語訳】
「死ぬまで続く。」という四文字は、言葉としては簡潔であるが、意味は広く深い。これでなければ、意志が固く我慢強く思い切りがよく動揺しない生き方は、出来ない。
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※「會子曰く、士は以て弘毅(こうき)ならざる可(べ)からず。任重くして道遠し。仁を以て己が任と為(な)す。亦(また)重からずや。死して後に已(や)む。亦遠からずや。」と『論語』にある。何事もこの気迫が肝要である。
平成26年10月9日 記
士規七則
吉田松陰
人、古今に通ぜず、聖賢を師とせずんば則ち鄙夫(ひふ)のみ。読書尚友(しょうゆう)は君子の事なり。
【口語訳】
古今に通ぜず、聖賢を師としなければ、くだらぬ人物となってしまう。だから、読書して古人を友とするは君子のなすべきことである。
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※吉田松陰が、人としてあるべき姿を七ケ条にまとめて書いたものである。久坂玄瑞、高杉晋作、伊藤博文、山縣有朋、吉田稔麿、入江九一など多くの人材を育てている。まさに教育の原点がここにある。書を読むことは、先達の力説する君子の道である。
平成26年10月7日 記
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