徳川家康「遺訓」
人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し。
急ぐべからず。
不自由を常と思へば不足なし。
心に望おこらば困窮したる時を思ひ出すべし。
堪忍は無事長久の基、怒りは敵と思へ。
勝つ事ばかり知りて、負くる事を知らざれば害その身にいたる。
己を責めて人を責むるな。
及ばざるは過ぎたるよりまされり。
【口語訳】
人の一生というものは、重い荷を背負って遠い道を行くようなものだ。急いではいけない。不自由が当然だと思えば、不満は生まれない。心に欲が起きたときには、苦しかった時を思い出すことだ。我慢することが無事に長く安らかでいられる基礎で、「怒り」は敵と思え。勝つことばかりで負けることを知らないと、危険が自分の身に降りかかってくる。自分の行動について反省し、人を責めてはいけない。不足のほうが、やり過ぎるより良いのである。
------------------------------------------------------------------------------
※数々の艱難辛苦を乗り越えて、徳川幕府を開いた徳川家康だからこそ、その言葉一つ一つに重みがある。「己を責めて人を責むるな。」とあるが、これが人としてできない。ああ、今日も不満を抱いている自分がいる。自戒、自戒。
平成26年9月9日記