佐藤一斎(さとういっせい)

    「言志四録(げんししろく)」
                佐藤一斎

  学を為す。故に書を読む。

【口語訳】
 学問をして自己研鑽のために本を読む。本を読むことが学問ではない。
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※自己研鑽のために本を読むとは、重い言葉だ。そう考えると読む本の選択も大切だ。長い風雪に耐えた本は、一つの道標だ。
 「文事有る者は必ず武備有り。武事有る者は必ず文備有り。」『史記』とある。我々武道に携わる者は、このことをしっかり心に刻み込まなければならない。そうしなければ、単なる剣道が強いだけで終わってしまう。だからこそ、書に親しむ必要がある。
         平成30年4月2日 記 
                



    「言志四録(げんししろく)」
                佐藤一斎

 真に大志ある者は、克(よ)く小物(しょうぶつ)を勤め、真に遠慮あるものは、細事(さいじ)を忽(ゆるがせ)にせず。

【口語訳】
 真に大志を抱く者は小さな事柄でも一生懸命に努め、また、真に先々のことまで考えている人は些細な事柄もおろそかにしない。
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※何事も不断の努力が大切だ。能面作成の時も、最も大切なのは下塗りである。ここをいい加減にすると、それなりにしかできない。しかし、下塗りは一切見えない。見えないものこそ大切なのである。見えない努力を惜しまない、それが成功の秘訣だろう。
         平成30年4月1日 記 
                



    「言志四録(げんししろく)」
                佐藤一斎

  立志の功は、恥を知るを以(もっ)て要と為す。

【口語訳】
 志を立てて成功するには、恥を知ることが肝要である。
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※今、政治の世界で起こっている醜聞は、まさにこの恥に起因する。誰が指示したか明確なのにしらを切り、部下の責任にする。政治家の常道である。情けない。
 この面は「景清(かげきよ)」、源頼朝との戦に負け源氏の栄える世は見たくないと、自らの両目を抉り盲目となった武将をモデルにしたものである。
 近親者に利益供与を画策する政治家に、「景清」のような覚悟はかけらもないだろう。

         平成30年3月22日 記 
                



    「言志四録(げんししろく)」
                佐藤一斎

 少くして学べば則ち壮にして為すこと有り。壮にして学べば 則ち老いて衰えず。老いて学べば則ち死して朽ちず。

【口語訳】
 若くして学べば、大人になって世のため、人のために役に立つ人間になる。壮年になって学べば、年をとっても衰えない。年をとって学べば、死んでもくさらない。その精神は永遠に残る。 
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※『言志四録』は、佐藤一斎が書いた語録。指導者のためのバイブルと呼ばれている。佐藤一斎は、江戸時代後期の儒学者である。
 先日、後輩に「英会話を始めた」と言ったら、「老いて学べば則ち死して朽ちず」という一節が返ってきた。同じものに共感を覚えているんだなと嬉しくなった。彼は税理士事務所を開いていて、今年のピオーネ100房の予約もしてくれている。大きな老人ホームとの契約が成立して、殺風景な部屋の中に秋になったら柿を置きたいと、その予約も合わせてしてくれた。清濁併せ呑む、その姿勢が面白い。
 後輩の口から発せられたこの言葉の意味は重い。生涯を通して学んでいくことが心も体も朽ちさせないことに繋がる。俄然、英会話に向かう姿勢が前向きになったが、己の不甲斐なさに愕然とするのであろう。その時は、『徒然草』を読んで自分を叱責しなければならない。
         平成30年3月21日 記 
                


    「言志四録(げんししろく)」
                佐藤一斎

 真に大志ある者は、克(よ)く小物(しょうぶつ)を勤め、真に遠慮あるものは、細事(さいじ)を忽(ゆるがせ)にせず。

【口語訳】
 真に大志を抱く者は小さな事柄でも一生懸命に努め、また、真に先々のことまで考えている人は些細な事柄もおろそかにしない。
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※何事も不断の努力が大切だ。能面作成の時も、最も大切なのは下塗りである。しかし、下塗りは一切見えない。見えないものこそ大切なのである。見えない努力を惜しまない、それが成功の秘訣だろう。
         平成28年8月2日 記 
                



    「言志四録(げんししろく)」
                佐藤一斎

  学を為す。故に書を読む。

【口語訳】
 学問をして自己研鑽のために本を読む。本を読むことが学問ではない。
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※自己研鑽のために本を読むとは、重い言葉だ。そう考えると読む本の選択も大切だ。長い風雪に耐えた本は、一つの道標だ。
         平成28年6月7日 記 
                




    「言志四録(げんししろく)」
              佐藤一斎

 人は須すべからく自ら省察すべし。「天は何の故に我が身を生み出し、我をして果たして何の用に供せしむる。我既に天物なれば、必ず天役(てんえき)あり。天役共(きょう)せずんば、天の咎(とが)必ず至らん」と。省察ここに到れば、則ち我が身の苟(かりそめ)に生く可からざるを知る。

【口語訳】
 人は必ず自ら反省して考察すべきである。「天は何ゆえに自分をこの世に生み出し、何をさせようとしているのか。自分は天が生んだものであるから必ず役割がある。その役割を果たさなければ天罰を受ける」と。ここまで考えが明らかになると、いい加減に生きる訳に行かないことが分かってくるだろう。
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※はたして自分は、天の与えし役割を実行しているのだろうか。反省しても反省しても分からない。ということは、いい加減に生きてきたことになる。
         平成28年3月21日 記 
                



    「言志四録(げんししろく)」
              佐藤一斎

 土地人民は天物なり。承(う)けて之を養い、物をして各(おのおの)其の所を得しむるは、是れ君の職なり。人君或(あるい)は謬(あやま)りて、土地人民は皆我が物なり、と謂うて之を暴(あら)す。此を之れ君、天物を偸(ぬす)むと謂う。

【口語訳】
 土地人民は天からの授かり物である。受けてこれを養い、適切な働き場を与えるのが、君主の仕事である。ところが勘違いして「土地人民は全て自分のものである」と乱暴に扱う君主がいる。それは天からの授かり物を盗むと言うことである。
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※全世界の政治家が、この文言を噛みしめてもらいたい。他の国を侵略する
ことなど、下劣な行為だ。
           平成28年2月15日 記 
                



    「言志四録(げんししろく)」
               佐藤一斎

 諫(いさめ)を聞くものは、固(もと)より須(すべか)らく虚懐(きょかい)なるべし。諫を進むる者も、亦(また)須らく虚懐なるべし。

【口語訳】
 忠告を聞くものはわだかまりのない心で聞かなければならない。忠告する者もわだかまりのない気持ちでなければならない
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※虚心坦懐に話すのも聴くのも難しい。人間は何かしら打算が働くものであ
る。そうならないようにするのも、また人間としての修業であろう。
           平成28年1月19日 記 
                



    「言志四録(げんししろく)」
                佐藤一斎

 士は独立自信を貴ぶ。熱に依(よ)り炎に附くの念(ねん)、起こすべからず。

【口語訳】
 立派な男子たるものは独立して自信をもつことが大切である。権勢のある者におもねりへつらうな。
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※「権勢のある者におもねへつらう」ことのなんと多いことか。大丈夫(だいじょうふ)たるもの孤高でありたい。               
           平成28年1月10日 記 
                



    「言志四録(げんししろく)」
                佐藤一斎

分(ぶん)を知りて、然(しか)る後に足るを知る。

【口語訳】
自分の身のほどを知って、初めて現状に満足することを知る。
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※これができないから、人間須(すべから)く苦しむのだろう。身の丈にあった生活が大切だ。
           平成28年1月5日 記                 



    「言志四録(げんししろく)」
                 佐藤一斎

  志有るの士は利刃(りじん)の如し。百邪(ひゃくじゃ)辟易(へきえき)す。志無きの人は鈍刀の如し。童蒙(どうもう)も侮翫(ぶがん)す。

【口語訳】
 志のある者は鋭利な刃のようで、魔物・誘惑も退散する。志の無いものは切れない刀のようで、子どもですら馬鹿にする。
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※何歳になっても志は高くありたい。未来を見詰める心をもちたい。
            平成27年12月29日 記 
                



    「言志四録(げんししろく)」
                佐藤一斎

 凡(およ)そ事を作(な)すは、須(すべか)らく天に事(つか)ふるの心有るを要すべし。人に示すの念有るを要せず。

【口語訳】
 全ての事を行うには、必ず天の意志に従う心をもつべきである。他人に誇示する気持があってはならない。
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※他人に誇示しようとするから、何事上手くことが運ばないのだろう。名言だ。
            平成27年12月19日 記 
                



    「言志四録(げんししろく)」
                佐藤一斎

 面(おもて)は冷ならんことを欲し、背は煖(だん)ならんことを欲し、胸は虚ならんことを欲し、腹は実(じつ)ならんことを欲す。

【口語訳】
頭は冷静で、人には温かく、心にわだかまりがなく、腹は座っているようありたい。
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※常にかくありたいものだ。このようにできないから、このような言葉が生まれるのもまた事実だ。しかし、求めていきたい。
            平成27年12月14日 記