明治天皇

        明治天皇
 「太刀」

  真心をこめて錬ひしたちこそは乱れぬくにのまもりなりけり
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※ 京都の東に粟田神社がある。その一角に、粟田口吉光(あわたぐちよしみつ)と三条宗近(さんじょうむねちか)を祭神とする鍛冶神社がある。そこにある石碑に前述の短歌が刻まれてある。明治天皇は、刀に対する造詣が深く、その文化継承にも尽力されていた。
 三条宗近は、「国宝 三日月宗近」を作刀した刀匠としても世に知られている。また、能「小鍛治」にも登場する。約1000年前、一条天皇は彼に刀を打つように命ずるが、相槌を打つ者がいない宗近は、近くの稲荷神社に助けを求め参詣する。すると、稲荷神社の御神体が狐の精霊の姿で現われ相槌を務めてくれたため、宗近は刀を打つことができた。その刀に「小狐」と銘を刻んだため、「小狐丸」と呼ばれるようになる。能「小鍛治」は、その一連の逸話を基に作られたものである。テンポが良く興味深く見られる作品である。
           令和元年9月11日 記