梅荘顕常(ばいそうけんじょう) 

       雪梅図
            梅荘顕常

   玉蕊(ぎょくずい)疎木(そぼく)に開く
   瑤華(ようか)糾枝(きゅうし)に満つ
   孤芳(こほう)歳寒(さいかん)の底
   一段人の知る没(な)し

【口語訳】
 玉のような雌しべがぽつんと立木に開いて、珠のような美しい花が曲がって垂れる枝に咲いている。寒さの最も厳しい時に、ただこの梅のみが芳しい。特に人に知られることもなく、そこにあるのだ。
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※梅荘顕常は、京都相国寺(しょうこくじ)の僧で、伊藤若沖を庇護し「若沖」と命名したことでも知られている。これは、相国寺承天閣(しょうてんかく)美術館にある若沖の絵に書かれた漢詩である。若沖の生き方に対する賛歌でもある。若沖の作品には迷いがない。何事もかくありたいものだ。
          令和3年1月4日 記