山岡鉄舟二十則

    山岡鉄舟二十則
         山岡鉄舟

嘘を言うべからず候
君のご恩は忘るべからず候
父母のご恩は忘るべからず候
師のご恩は忘るべからず候
人のご恩は忘るべからず候
神仏ならびに長者を粗末にすべからず候
幼者をあなどるべからず候
己に心よからざることは他人に求むべからず候
腹を立つるは道にあらず候
何事も不幸を喜ぶべからず候
力の及ぶ限りは善き方につくすべく候
他をかえりみずして自分のよきことばかりすべからず候
食するたびに稼穡(かしょく=種まきと収穫、農業のこと)の艱難を思うべし。すべて草木土石にても粗末にすべからず候
ことさらに着物を飾り、あるいはうわべをつくろう者は、心に濁りあるものと心得べく候
礼儀を乱るべからず候
何時何人に接するも客人に接するように心得うべく候
己の知らざることは何人にても習うべく候
名利のために学問技芸すべからず候
人にはすべて能、不能あり。いちがいに人をすて、あるいは笑うべからず候
己の善行を誇り顔に人に知らしむべからず。すべて我が心に恥ざるに務むべく候
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※勝海舟、高橋泥舟とともに「幕末の三舟」と称される。西郷隆盛と勝海舟による江戸城無血開城決定の道筋をつけた人物でもある。剣と書の名人であった。廃藩置県に伴い茨城県の最初の知事となる。歴史に名を残す人は考え方が違う。一項目一項目が、身にしみる。人としてかくありたいものである。 
           平成28年5月25日 記